自家製タケノコ缶詰による食品媒介性ボツリヌス、1998年−タイ

1998年4月13日、タイ公衆衛生省の実地疫学調査トレーニングプログラム(Field Epidemiology Training Program)は6例のボツリヌスが疑われる脳神経麻痺患者の報告を受け、翌日疫学調査を開始した。

6例のうち5例はA村の住人で、1例はB村の住人であった。調査の結果、さらに7例の患者が確認された。12例はA村の住人で、9例が入院した。年齢中央値は44歳(38〜68歳)、9例が女性、13例の症状は嚥下障害(85%)、口渇感(62%)、嘔吐(54%)、発声障害(54%)、下痢(38%)、対称性麻痺(31%)、構音障害(31%)、眼瞼下垂(23%)であった。4例が人工換気を必要とし、2例が死亡した。

患者13例が全例自家製のタケノコ缶詰を摂食しており、その他の共通の食品はなかった。66例の健常対照では、4例がタケノコ缶詰を食べていた。潜伏期間は6時間〜6日間であった(中央値2日)。

13例すべてが一つの20lの缶からタケノコを食べていた。これはB村の住人により製造販売されており、タケノコを洗ったのち、20lの亜鉛メッキ鉄製の容器で約1時間茹でて、鉛で封をしていた。できあがった缶詰は販売されるまで室温で3〜6カ月保管されていた。

現地の病院で2例の患者の便培養が行われたが、Clostridium botulinumは陰性であった。6例の検体がUSAMRIIDに送られたが、やはり陰性であった。6つのタケノコサンプルのうち1つからA型ボツリヌス毒素が検出された。

調査の結果、公衆衛生省は、自家製の食品製造の規制と食品媒介ボツリヌスのサーベイランスを強化し、地域自治体は残っているタケノコ缶詰の販売を禁止した。

(CDC、 MMWR、 48、 No.21、 437、 1999)

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