ロタウイルスワクチン接種後の腸重積症、1998〜1999年−米国

1998年8月31日、4価ロタウイルスワクチン(RotaShield, Wyeth Laboratories, Inc., Marietta, Pennsylvania)(RRV-TV)が米国において小児の予防接種として認可され、予防接種勧告委員会、米国小児科学会、米国家庭医学会は健常小児に対するルーチン接種として推奨している。1998年9月1日〜1999年7月7日までの間に本ワクチンを接種した小児の間に15例の腸重積症がワクチン副反応報告システム(VAERS)に報告された。

報告された腸重積症の15例のうち、13例(87%)はRRV-TVの初回投与後発症し、12例(80%)は投与回数にかかわらず、投与後1週間以内に発症した。15例中13例は他のワクチンも同時に受けていた。腸重積は全例において放射線学的に確認されており、8例は外科的解除を必要とし、1例は腸切除を必要とした。この病理組織はリンパ濾胞過形成と虚血性壊死を示した。全例が快復している。症例の年齢は2〜11カ月(中央値3カ月)、10例が男児であった。

ニューヨークにおける1991〜1997年の12カ月以下の乳児の腸重積の入院は10万乳児・年当たり51で、1999年6月1日でRRV-TVは150万ドースが接種されたと推定されていることから計算すると、ワクチン接種1週間以内に14〜16例は腸重積を偶然おこすと推定される。患者15例中14例は6月1日以前に接種を受けており、このうち11例は1週間以内に発症している。

認可後副反応調査の暫定解析結果では、1998年12月1日〜1999年6月10日までの間に、Northern California Kaiser Permanente(NCKP)で9,802例の小児に対して16,627ドースのRRV-TVが接種された。同じ時期に9例の腸重積症が確認され、3例がワクチン接種後で、それぞれ接種3日、15日、58日後であった。ワクチン非接種の小児における腸重積の率は10万乳児・年あたり45、RRV-TV接種者全体では125(年齢調整相対危険度 1.9、p=0.39)であった。3週間以内に接種した小児では、219(年齢調整相対危険度 3.7、p=0.12)、1週間以内の接種者では比率は314(年齢調整相対危険度 5.7、p=0.11)となる。

ミネソタ州では、1998年10月1日〜1999年6月1日の間に62,916ドースのワクチンが供給された。同期間に18例の腸重積症が確認され、このうち5例がワクチン接種後の症例で、接種者の年齢は3〜5カ月(中央値4カ月)、非接種者の年齢は5〜9カ月(中央値7カ月)であった。供給されたワクチンのうち85%が接種されたと仮定すると、RRV-TV接種後1週間での腸重積の比率は10万乳児・年当たり292であった。

MMWR編集部註:NCKPの結果もVAERSの結果も決定的なものではないが、これらは重要な知見であることには間違いがない。あと数カ月でより多くのデータが集まることと、ロタウイルス感染症のシーズンはまだ4〜6カ月先であることから、CDCはすでにワクチン接種をはじめた人も含めて、RRV-TVの接種を1999年11月以降に延期するように勧奨している。また、すでにワクチン接種を受けた小児で腸重積に一致する症状をきたしたものについては即座に医療機関に相談するように奨めている。

(CDC、MMWR、48、No.27、577、1999)

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