肺炎球菌ワクチンに関するWHOの方針

肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は幼児や老人に髄膜炎、敗血症、肺炎など重篤な症状を引き起こす。特に途上国では乳幼児が重篤な肺炎球菌症で毎年少なくとも100万以上が死亡している。

現在、重篤な肺炎球菌症の予防に肺炎球菌の莢膜多糖体抗原を用いた莢膜ワクチンが利用されている。莢膜ワクチンは成人健常者や幼児を重篤な肺炎球菌症から予防することに有効である。また、脾臓摘出患者、慢性臓器不全患者、鎌状赤血球症患者および高齢者など免疫系の低下した人々にもある程度の防御効果を与える結果がでている。

これら成人健常者や幼児および免疫の弱まったグループへの莢膜ワクチンの使用は、重篤な肺炎球菌症を予防することに有効であり、ワクチン接種を推奨する。しかし、2歳以下の乳幼児に対しては、莢膜ワクチンを接種しても十分な防御効果を与えることができず、また、接種による副反応も大きいため、使用することは難しい。

(WHO、WER、74、No.23、177、1999)

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