発疹症とエコーウイルス18型小流行−島根県
1999年7月に浜田市(県西部)のサーベイランス定点より搬入された30検体のうち、発疹症の7検体中5件からエコーウイルス(E)18型が検出された。他に発熱の11検体中3件からも同様のE18が検出された。発疹症の患者は0〜2歳で、発熱の患者は9歳、5歳、1歳であった。
ウイルス分離には、RD-A30、FL、AG-1の3種類の細胞を用いた。RD-A30細胞での分離がもっとも高率であり、初代培養で発疹症から5株、発熱から3株の計8株にCPEが出現した。FL細胞2代継代で発疹症から2株、またAG-1細胞でも2代継代で発疹症から3株のエンテロウイルス様CPEを確認した。
RD-A30細胞で分離した8株についてメチルセルロース重層下でプラック中和法により、本県で最近頻繁に分離されているE6、E17、E11、E30、CA9の単味血清を用いて同定を行ったが、いずれの抗血清に対しても中和されなかった。そこでエコープール血清(EP-95)を用いて代表株(2205-99)について再度同定を行った結果、EP-95のNo.3で1/2抑制、No.5で完全抑制されたことからE18と同定した。また、代表分離株(2205-99)を含め、残りの分離株7株についてもE18単味血清(抗1306-81)の40単位でも完全にプラックが抑制され、このことからE18と同定した。
本県では過去に、1981年と1988年に無菌性髄膜炎から高頻度に分離された大きな流行の後、1997年までは流行はなかったが、1998年に再び無菌性髄膜炎から分離された。しかし、1999年には無菌性髄膜炎の症例発生は認められなかったが、発疹症と発熱の小流行から分離されている。(表)
島根県衛生公害研究所
松田裕朋 飯塚節子 穐葉優子
武田積代 板垣朝夫
浜田市・小池医院 小池茂之