手足口病患者からのコクサッキーウイルスA群16型(CA16)の分離−愛媛県

愛媛県における本年の手足口病患者発生状況は、感染症発生動向調査によると、第15週(0.36人/1定点当たり/週)から増加が見られ、第26週には1定点当たり16.13人に上った。全国的には1998年夏にコクサッキーウイルスA群16型(CA16)を主原因とする手足口病の流行がみられたが、愛媛県においては散発的な発生にとどまった。そのためか今回は近年にない手足口病の流行となった()。

患者の増加に伴い、4月頃から手足口病患者のウイルス分離検体が増加した。8月末までに患者80名の咽頭ぬぐい液68件、水疱内容物30件、計98件の分離検査を実施した。月別のウイルス分離状況を表1に示した。4月以降CA16が患者80名中56名(65%)から分離され、本年の手足口病の原因ウイルスは、昨年に続きCA16であることが示された。

次に、材料別、細胞別のCA16分離状況を表2に示した。咽頭ぬぐい液68件中37件(54%)から、また水疱内容物30件中27件(90%)からCA16が分離され、水疱内容物からの分離率が高率であった。ウイルス分離に用いたFL、RD-18S、Veroの各細胞では、FL細胞が最も高い感受性を示した。

また、CA16が分離された手足口病患者56名の年齢構成は、1歳以下が39%で一番多く、次いで4〜6歳、2〜3歳、7〜9歳の順に多かった。一方、患者の母親(34歳)からもCA16が分離され、成人の感染例も確認された。

なお、本年の手足口病患者には髄膜炎や脳炎等の合併症は報告されていない。

愛媛県立衛生環境研究所
吉田紀美 近藤玲子 山下育孝 大瀬戸光明
石丸小児科医院
中野省三 石丸啓郎

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