レジオネラ肺炎、1998年−ヨーロッパ諸国

PHLS Communicable Disease Surveillance Centreのレジオネラ感染ヨーロッパワーキンググループによると、1998年に加盟28カ国から報告されたレジオネラ肺炎は1,442例(1,028例が確定診断)であった。1997年より82例の増加で、死亡率は13%であった(1997年は10%)。罹患率は100万人あたり4.3人で、昨年に続きデンマーク、ドイツが高く(100万人当たり20.4人と20人)、ポルトガル、スイス、ギリシャがつづいた(100万人あたり17〜10人)。

33%が市中感染、14%が院内感染、21%が旅行による感染であった。集団発生あるいはクラスターは、9カ国32事例(165人、11%)で、院内感染が10事例(1997年は4事例)、市中感染が12事例、旅行に関連したものは10事例であった。市中感染の事例では、サッカーのワールドカップ大会の開催されたパリの事例、ヘルスリゾートに関連したスペインの事例を含む。集団発生の感染源は、14事例が給湯あるいは給水設備によるもの、5例が冷却塔によるものであることが判明しているが、12例の感染源は不明である。渦流循環風呂によるものは特定のブランドのもので、デザインの欠点のためレジオネラが増殖し易くなっていた。旅行に関連したレジオネラ肺炎は 297例(21%)で、そのうち80%はヨーロッパ内の旅行であった(スペイン66例、フランス51例、トルコ35例、イタリア22例、ギリシア15例など)。注目すべき例は、クルーズ船における集団発生、スペインのあるホテルの事例であった。

診断は、33%が尿中抗原の検出(1997年に比べ6%増加)、24%が単一血清での高い抗体価、22%が培養、18%が抗体価の上昇、2.3%が呼吸器系における抗原の検出、0.4%がPCR (他不明が0.8%)によった。

起因菌はLegionella pneumophila血清群1が60%(その48%は尿中抗原で診断された)、血清群1以外のL.pneumophilaが34%であった。

1996年のパッケージ旅行に関するEC指令の実施以来、ヨーロッパツアーオペレーター国際連盟は旅行に関連したレジオネラ肺炎の情報をコンダクターに周知し、問題のあるホテルへの宿泊を回避させることができる。このような措置がレジオネラ感染防御に対して良い結果をもたらしている。

(WHO、WER、74、No.33、273、1999)

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