男性同性愛者における細菌性性感染症の再出現、1997〜99年−米国・シアトル
1980〜90年代にワシントン州キング郡(シアトルの行政区)で多かった梅毒は、1995年に6例、1996年には1例まで減少し、しかもその大半がキング郡外での感染とみなされるものであった。ところが1997〜99年前半までの届出では、男性同性愛者の梅毒患者は46例と急増し、クラミジア、淋菌感染症も同様に増加傾向にある。1997年おける男性同性愛者の梅毒は、梅毒患者の19例中4例(21%)であったものが、1998〜99年には88例中75例(85%)と増加している。これら男性同性愛者79例の年齢は19〜56歳(中央値35歳)で、その70%が30歳以上であった。病期別では、第1期梅毒23%、第2期61%、早期潜伏梅毒16%であった。またこれら79例のうち48/67例(72%)がHIV感染者であり、その他に2例が梅毒と診断された前後の時点でHIV陽性であった。
キング郡における男性同性愛者10万当たりの年間梅毒発病率は1996年は0であったものが、1997年10、1998年90に上昇し、1999年には200 に上昇することが予測され、さらにHIV陽性男性同性愛者では1,500に達することが予測されている。
1997年〜1999年6月までに、STD診療所で淋菌あるいはクラミジア・トラコマチス感染と診断された男性同性愛者は427人と増加している。年齢は20〜53歳(中央値32歳)で、淋菌感染者の19%、同じくクラミジアの17%がHIV陽性者であった。なお、直腸を感染源とする淋病は、1997年の6例から1998年25例、1999年前半で13例に増加している。
(CDC、MMWR、48、No.35、773、1999)