第1期および第2期梅毒、1998年−米国
1990年に全国的な流行が発生して以来現在までに、米国の第1期および第2期梅毒(以下、単に梅毒と記述)の症例数は減少を続けている。1998年の全米の報告症例数は6,993(人口10万対2.6)で、1997年および1990年に比較してそれぞれ19%、86%の減少であった。地域ごとの人口10万対の比率は南部5.1、中西部1.9、西部1.0、北東部0.8であり、前年に対する減少率は北東部で特に顕著であった。人種別では、黒人17.1、ネイティブアメリカン2.8、ヒスパニック1.5、非ヒスパニック白人0.5、アジア・太平洋諸島系0.4で、性別では男性が女性に対し30%多く、年齢層では女性の20〜24歳と男性の30〜39歳での症例数が最大であった。
35の州とワシントン特別区では減少あるいは現状維持の状態であるが、15の州では逆に症例数が増加し、特にルイジアナ、インディアナ、ミシガン、アリゾナ、ワシントンの各州では増加が顕著であった。全米3,115郡中28郡での症例が全体の50%を占めており、郡/市でもっとも高い症例数は、メリーランド州ボルチモア、イリノイ州クック郡、テネシー州シェルビー郡、同ダビッドソン郡で報告されている。前記28郡のうち1997年に比してもっとも高い症例数増加が見られたのは、インディアナ州マリオン郡、ノースカロライナ州メクレンバーグ郡、アリゾナ州マリコパ郡、ミシガン州ウェイン郡であった。
全体として、1998年は症例数がこれまでで最低となり、感染の増加が限られた地域でのみ起こっていることが裏付けられた。
(CDC、MMWR、48、No.39、873、1999)