<速報> 腸管出血性大腸菌O86による死亡例−鹿児島県

 経 緯 
9月26日:3歳男児 軟便で発症
9月27日:下痢・血便・腹痛で近医受診、入院治療
9月28日:HUS発症、痙攣がみられたため、HUS治療機関病院へ転院
9月30日:HUS治療機関病院より検査依頼を受けた鹿児島大学医学部小児科にて、
27日の便培養から大腸菌O86を分離、PCRでVT2遺伝子を検出
10月1日:同科より、当該菌株のVero毒素再確認検査依頼を県衛生研究所で受諾
10月2日:PCRでVT2遺伝子を検出し、生化学性状および血清型を確認
患者はHUSおよび脳症のため死亡
10月3日:RPLAでVT2の毒素産生を確認

感染経路の調査に先立って、分離された腸管出血性大腸菌O86の性状を既存の培地で調べた。

 増菌培地:mEC-NB 発育せず
TSB、GN BROTH 発育良好
 分離培地:CT-SMAC、CT-RMAC、CT-SorboseMAC 発育せず
SS、MAC 発育良好(白色集落)
DHL 発育良好(赤色集落)
 確認培地:TSI 斜面が半端な黄色、他は大腸菌様
LIM L:中間色 I:陽性 M:非運動性
VP 陰性、SC 陰性
CLIG 赤/橙色、蛍光陽性
Beutin培地 非溶血

以上のことから感染経路調査では、増菌:GN BROTH、集菌:Dynabeads M-280、 分離培地:SS、DHLを使用することとした。

10月4日より、家族や濃厚接触者の便・ふきとり・食品等の検査を実施した。

10月8日現在、数名より上述の性状と全く同一のO86:H-を検出しているが、Vero毒素を認める株は検出できていない。

鹿児島県衛生研究所微生物部
上野伸広 吉國謙一郎 新川奈緒美 有馬忠行 永田告治
鹿児島大学医学部小児科 西 順一郎

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