1999年夏季にアラスカ州、ユーコン地方観光のクルーズ船乗客に発生したインフルエンザ−カナダ
1999年6月3〜18日に米国アラスカ州はインフルエンザ様疾患(ILI)または急性呼吸器疾患(ARI)に罹患し、迅速抗原検出キット(1例はウイルス分離)でインフルエンザA陽性であった旅行者6例(肺炎2例を含む)の報告を受けた。アラスカ州や、ユーコン地方旅行者の同様の集団発生は1998年の夏にも起こっていた((CDC、 MMWR、 47:685、1998)。
6月24日にユーコン準州は6月中旬にILIを発症した患者4例(うち3例は旅行者)がインフルエンザA分離陽性であったと報告した。分離株はLaboratory Centre for Disease Control(LCDC)に送られ、7月2日までにHI試験により4株ともA/Sydney/5/97(H3N2)様であることが判明した。ほぼ同時に米国CDCではアラスカ州で6月11〜16日に患者から分離された2株をA/Sydney/5/97(H3N2)様と判別し、そのうち1株の遺伝子解析から前シーズン(1998/99)の流行ウイルスに類似していることを明らかにした。
一方、積極的疫学調査が行われ、6月29日までに5月22日〜6月28日の間にアラスカ州、ユーコン地方観光の7つのクルーズ船乗客の中からARI患者428例がCDCに報告された。発症日が明らかな386例中187例(48%)は南回りの船に乗船前あるいは乗船後48時間以内に発症しており、感染は乗船前の当地の陸上観光の間に起こったと推定される。ARI罹患率は3.8%(10,110人の乗客中386)で、感染率は5.5/1,000旅客日(passenger days)であった。ARI患者のうちILIの定義(咳または咽頭痛を伴う急な発熱)に合致するものは132(34%)であった。4例が肺炎で入院した。ツアー従事者では104例のARI患者が報告された。
6月26日にLCDCは高リスクの人はこれら地方に旅行する2週間以上前に1998/99シーズン用ワクチンを接種するようにという勧告を含む旅行者への注意をホームページに掲載した。
(LCDC、Canada CDR、25-16、1999)