下痢、腹痛の原因となる韓国産カキに寄生する吸虫(ギムノファロイデス)について

ギムノファロイデス(Gymnophalloides seoi)というのは、1993年に初めて人体寄生例が韓国で見つかった寄生吸虫である。カキの生食によりヒトが幼虫を摂取すると、成虫が腸管に寄生するところとなり、上腹部の不快感や下痢、腹痛などの消化器症状を起こす。体長は0.4mm程度と小型であるので、症状の強度は寄生した虫の数により左右されると考えられ、韓国での調査では、最多数例で26,373匹の人体寄生例が報告されている。

また、韓国全土で、産地別にカキの本種幼虫寄生状況を調査したところ、日本海側からは陽性カキは見つからず、黄海側の全羅南道の押海島など島嶼部で生産されたものに陽性カキが見つかっている。何故、地域が限定されているのかという原因は必ずしも明らかではないが、本種寄生虫の自然宿主がこれらの島嶼部に分布している海鳥であることがその一つとして挙げられている。

 参考文献
1. Lee SH et. al., Am. J. Trop. Med. Hyg. 51: 281-285, 1994
2. Lee SH et.al., Korean J. Parasitol. 34: 107-112, 1996
3. Sohn WM et. al., Korean J. Parasitol. 36: 163-169, 1998

国立感染症研究所
寄生動物部扁形動物室 川中正憲

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