インフルエンザウイルスとエコーウイルス30型が同一検体から分離された2症例

1999年2月に、感染症サーベイランス定点から搬入されたインフルエンザ様疾患患者の咽頭ぬぐい液からエコーウイルス30型(E30)とインフルエンザウイルスが分離された。

 症例1:1歳2カ月男子

2月8日発病。症状は熱発40℃、咳、咽頭痛、咽頭発赤で髄膜刺激症状も灰白色便も無かった。同時入院した兄にも同じ症状が有り、インフルエンザと思われた。2月20日には症状はすべて改善した。主な血液検査所見は、末梢白血球数は4,700μ/mm3、CRP O.1mg/dl、血小板14.3万、CK 191U、GOT 53Uであった。

2月12日の咽頭ぬぐい液からMDCK細胞でインフルエンザウイルスAH3 型、AC細胞(羊水細胞から樹立)でE30を分離した。

 症例2:13歳4カ月男子

2月15日発病。症状は熱発40℃、咳、咽頭痛、咽頭発赤、結膜炎で、下痢、筋肉痛、関節痛は無く、髄膜刺激症状も無かった。2月22日には症状はすべて改善した。父親がインフルエンザで解熱した直後の発症であった。主な血液検査所見は、末梢白血球数6,000μ/mm3、CRP 0.9mg/dl、血小板 20.3万、CK 84U、GOT 19U、GPT 10Uであった。2月22日には症状はすべて改善した。

2月22日の咽頭ぬぐい液からMDCK細胞でインフルエンザウイルスB型、AC細胞でE30を分離した。

これまで、同一患者の咽頭ぬぐい液からインフルエンザウイルス、便からロタウイルスあるいはアデノウイルスやポリオウイルスを分離した経験はあったが、同一検体からのインフルエンザウイルスと他のウイルスの分離は初めてであった。

名古屋市衛生研究所 中北 隆 後藤則子
名古屋市立東市民病院小児科 加藤敏行

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