集団かぜからのインフルエンザウイルスAソ連型の分離−宮城県

1999年11月30日に、宮城県北部に位置するA町のB小学校で授業短縮を伴う集団かぜの報告があった。全校生徒49名中、患者数は33名で患者は全学年で認められた。初発時期は11月24日であった。

患者の症状は、37〜40℃の発熱、鼻汁、咳、咽頭痛が主で、嘔吐、下痢は認められなかった。罹患者15名について12月1日に咽頭ぬぐい液を採取し、MDCK細胞を用いてウイルス分離を実施した結果、7名からインフルエンザウイルスAソ連(H1N1)型が分離された。分離株を抗原としたフェレット標準抗血清A/北京/262/95(WHOインフルエンザ・呼吸器ウイルス協力センターより分与)のHI価は1:80〜160であった。ウイルスが分離された患者は11月28日〜12月1日に発病しており、欠席または早退はしたものの症状が回復し登校した児童も含まれ、検体採取時点での症状は比較的軽度であった。

A町にはB小学校の他に小学校が4校(C、D、E、F校)そして中学校が1校(G校)ある。B小学校での集団発生に先立ち、病原体定点診療所においてC小学校の児童1名より11月15日に採取した咽頭ぬぐい液から、今シーズン初めてインフルエンザウイルスAソ連型が分離され、その児童からの聞き取り調査では兄弟(G中学校)とその同級生数名もかぜ様症状を示し欠席していた。さらに、D小学校とE小学校の児童各々1名より11月25、26日に採取された咽頭ぬぐい液から同じくAソ連型ウイルスが分離された。これらのことから、今回のB小学校の集団発生ならびにA町におけるAソ連型インフルエンザの流行は、G中学校が初発であったと推察された。

宮城県では1995/96シーズン以来、Aソ連型インフルエンザウイルスは分離されておらず、全国的にも過去3シーズンAソ連型の大きな流行が認められていないことから、患者数の拡大が懸念される。

宮城県保健環境センター・微生物部
後藤郁男 野池道子 沖村容子 秋山和夫 白石廣行

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