保育園における腸管出血性大腸菌O111集団感染事例−福岡市

1999年11月に発生した腸管出血性大腸菌O111(VT1)集団感染事例について概要を報告する。

某保育園の0歳女児2名(姉妹)は、11月初旬から下痢症状が続いたため、11月18日に医療機関を受診し、22日O111(VT1)が検出された。24日家族全員から同菌を検出したため、保育園児、職員の検便を同日実施した結果、園児7名、26日陽性園児の家族から3名、30日家族3名から同菌を検出、総数282名中21名が次々と感染した事例であった。

感染者はに示すように0〜1歳児に集中していた。3歳児、5歳児の菌陽性園児はそれぞれ0歳児感染者に兄弟がいた。

初発感染児には下痢、嘔吐がみられたが、他のほとんどの感染園児は軟便程度で比較的症状が軽く、無症状保菌者(3名)もいた。また父母等の感染者は、初発感染児の父母を含め3名に下痢、軟便がみられた。2名の感染園児のうち、初発患児1名と0歳児1名は投薬にもかかわらず約2週間にわたり除菌困難であった。

福岡市内においては、これまでO111の散発事例はあったが、今回初めての集団発生事例となった。今回分離されたO111のパルスフィールド・ゲル電気泳動パターンはすべて同一であり、1997年7月および1998年8月の散発事例から分離された菌とそのパターンはほとんど類似していた。

防疫対策として、保存食の検査、園内の消毒、職員および保護者への衛生指導、施設改善指導等が行われ、12月22日に終息した。感染源は不明であった。

福岡市保健環境研究所微生物課臨床検査係
早良保健所予防課

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