麻疹の流行−オランダ

オランダでは1999年4月15日から現在までに2,300人の麻疹患者が報告され、その97%はワクチン未接種者であった。患者発生はほぼオランダ全域にわたって見られたが、いわゆる「聖書地帯(Bible belt)」と呼ばれる地域に集積している。この地域では宗教的理由により子どもたちにワクチン接種を受けさせない人々が少なくとも30万人住んでいる。患者の約20%は重篤な合併症を併発し、53人が入院(肺炎が30人、脳炎が4人、その他19人)、3人が死亡した。130人が自宅で合併症である肺炎を治療し、152人が中耳炎、87人にその他の合併症(ほとんどが上気道感染症)がみられた。年齢構成は、6〜10歳の患者が全体の44%、1〜5歳が30%、11〜15歳が13%、15歳以上が7%、1歳以下が5%であった。ほとんどの両親(86%)が子どもにワクチン接種をしなかったことに対して宗教的な理由を挙げているが、オランダでのMMRワクチン接種年齢(14カ月)に達していなかった小児もいた。

オランダ保健省はこのデータを公開し、麻疹が危険な疾病で、ワクチン接種が予防に極めて有効な手段であると親たちを説得することに努めている。オランダでは過去(1987/88、1992/93)の経験から、この流行はまだ数カ月続くと考えられており、患者と接触した6カ月齢以上の小児に対しては、政府の負担によってワクチン接種が行われているが、これを受け入れる親は非常に少ない。オランダではワクチン接種は強制的なものではないが、MMRの初回接種率は96%を超えている。しかしワクチン接種に反対する人々は地理的、あるいは社会的に集団を形成しているため、ひとたびウイルスがこれら感受性の高い集団にもたらされると大流行になってしまう可能性がある。

(Eurosurveillance Weekly、 No.1、 2000)

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