O157以外の腸管出血性大腸菌(EHEC)の血清型別成績
(Vol.21 p 94-94)

本成績は1997〜1999年の3年間に国立感染症研究所に食中毒関連で送菌されて来たO157以外の腸管出血性大腸菌(EHEC)の成績である。これらの分離菌株は国際的な標準株で作製した自家血清(O1〜173、H1〜58)を使用し、凝集反応を行った。したがって、この成績は感染症情報として報告されるものとは集計様式が異なるため、血清型成績は必ずしも合致しないものもある。

過去3年間のO157以外のEHEC収集菌株は1997年236株、1998年341株、1999年551株、合計1,128株であった。それらの血清型およびVero毒素産生性の成績は表1表2表3のとおりである。

また、各年ごとの血清型の総数は1997年が33種類、1998年が25種類、1999年が45種類で、年々増加の傾向がうかがわれた。血清型の内訳では高頻度に検出される血清型はO26:H11、O26:H-、O111:H-であったが、その他の血清型は菌株数が少数なため各年度間の相関性は解析できなかった。しかしながら総合的推定では各年にまたがって検出されているO103:H2、O121:H19、O145:H-等は今後も検出されると思われる。さらに、各表からわかるように市販の診断用血清では同定できない血清型が各年で半数以上検出された。

上述のように、わが国におけるO157以外のEHECの血清型の実態は必ずしも十分とは言えないと思われるので、今後ともこれらの血清型の解明を続行する予定である。

したがって、同定不能のEHECが分離された際は、今まで通り当部へお送り下さいますよう、重ねて関係各位にお願い申し上げます。

国立感染症研究所細菌部 田村和満 伊豫田 淳 渡辺治雄

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