インフルエンザシーズンにおけるコクサッキーウイルスB5型の散発流行について−香川県
(Vol. 21 p 98-99)

香川県におけるコクサッキーウイルスB5型(以下CB5)の分離は、1995年の流行以来、例年夏季を中心として少数の分離であったが、今インフルエンザシーズン(1999/2000)に呼吸器系疾患から、インフルエンザウイルスとともにCB5が散発流行的に分離されたのでその概要を報告する。

感染症発生動向調査定点から送付されたインフルエンザを含む呼吸器系疾患患者検体について、MDCK、 FL、 RD-18細胞を用い、常法によってウイルス分離を行った。

に示すように、CB5の流行を分離からみると、香川県下のインフルエンザウイルス流行のピークである第6週に集中する傾向を示し、その流行パターンは一致した。分離41株を疾患由来別にみるとインフルエンザ疾患から26株、その他の呼吸器系疾患(咽頭炎、扁桃炎、上気道炎、気管支炎、下気道炎等)から15株が分離された。

またCB5とインフルエンザウイルスとの同時分離例が17例でみられた。Aソ連(H1)型との同時分離例が12例、A香港(H3)型で5例みられた。CB5とインフルエンザ以外のウイルスの同時分離例はなかった。しかしインフルエンザウイルスとアデノウイルス1型、2型、3型、CB3、 HSV-1等の同時分離例がみられた。

また検体を材料由来別にみると咽頭ぬぐい液から39株、髄液から2株であり、髄液由来の2症例(ともに1歳女児)はいずれもインフルエンザと診断され熱性痙攣を来たし、髄液、咽頭ぬぐい液からともにCB5が分離されたが、インフルエンザウイルスは両症例で咽頭ぬぐい液からのみA香港型が分離されている。

なお、インフルエンザとの同時感染を検討するために個々の患者の臨床症状について精査したが、インフルエンザウイルス単独分離例とCB5との同時分離例では症状の差はみられなかった。

ちなみに今シーズンの県下におけるインフルエンザウイルスの状況は、第5〜6週を中心にAソ連型209株、A香港型101株が分離されており、第12週に入って定点当たりの患者数0.65人と終息の域にある。併せて、CB5のウイルス分離も低率となった。

香川県衛生研究所 亀山妙子 三木一男 山西重機

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