東京都におけるデング熱患者の発生
(Vol.21 p 116-117)
2000(平成12)年4月11日に、感染症発生動向調査定点病院(基幹定点)からデング熱疑い患者の血清が搬入された。発病月日、臨床症状などは表に示したとおりである。
即日、簡便法であるPan BioのDengue IgM, IgG Rapid Immunochromatographic Testを行ったところ、IgM抗体が陽性、IgG抗体は陰性であった。確認のため、Dengue IgM capture ELISAを行った結果、PanBio units=29.8(positive=PanBio units>11)でIgM抗体は陽性であった。この時点で結果を基幹定点病院に報告し、病院側は海外旅行歴や臨床症状およびIgM 抗体陽性結果から、2000年4月13日に「四類感染症・全数報告・デング熱」として届け出をした。
ウイルス学的検査として、血清中のデングウイルス遺伝子の検索とC6/36細胞によるウイルス分離試験を行った。結果は、遺伝子1〜4型およびウイルス分離とも陰性であった。感染したデングウイルスのタイプを確認するために、プラック法による中和抗体価を検索中である。
東京都立衛生研究所・微生物部 田部井由紀子 吉田靖子 平田一郎