手足口病・無菌性髄膜炎患者からのエンテロウイルス71型の分離−熊本県
(Vol. 21 p 117-117)

熊本県において、3月下旬(第12週)に搬入された手足口病患者の咽頭ぬぐい液からエンテロウイルス71型(EV71)が分離された。ウイルス分離には、HeLa、FL、Vero、RD-18Sの4細胞を用いたが、Vero細胞にのみ細胞変性効果(CPE)が見られた。分離されたウイルスの感染価は7.9×106 TCID50/25μlであった。同定は感染研分与のEV71抗血清を用いて行った。

第21週現在、当研究所に持ち込まれた手足口病患者の咽頭ぬぐい液11検体中6検体からウイルスが分離されているが、これらもすべてVero細胞にだけCPEを示しており、同定作業を急いでいるところである。また、無菌性髄膜炎患者の咽頭ぬぐい液からもEV71が1株分離されている。

感染症発生動向調査によると、本県では第16週から手足口病の報告数が急激に増加しており、一方では無菌性髄膜炎発生報告数も増加傾向にある。現在流行している手足口病および無菌性髄膜炎の原因ウイルスがEV71であれば、今後、これらの疾患の発生動向には十分注意を払う必要がある。

熊本県保健環境科学研究所 西村浩一 田端康二 松尾 繁 甲木和子 橋本 朗
熊本地域医療センター     後藤善隆

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