インフルエンザ様患者からのC型インフルエンザウイルスの分離−広島県
(Vol.21 p 147-147)

1999年12月〜2000年2月の間に、広島県内においてインフルエンザ様症状を示した4名の患者からC型インフルエンザウイルスが分離された。

患者は1〜6歳までの男児。患者の発症時期や居住地域がそれぞれ独立していたことから、散発事例と考えられた。主症状は38.4℃〜40.0℃の発熱と上気道炎もしくは下気道炎。1名には発疹も認められたものの、いずれの患者についても同時期に流行していたAソ連型やA香港型ウイルスを原因とするインフルエンザ患者の症状との臨床的な違いは認められなかった。

患者の咽頭ぬぐい液を接種したMDCK細胞では、初代ないし2代継代後にCPEが出現した。分離ウイルスはニワトリ赤血球および七面鳥赤血球を凝集したが、モルモット赤血球は凝集しなかった。また、インフルエンザウイルス迅速診断キットであるディレクティジェンFluAおよびインフルエンザOIAでは陰性。インフルエンザA型、B型ウイルスおよびパラインフルエンザウイルス1〜4型に対する抗血清を用いたHI試験では、いずれもHI価は1:10未満であったが、C/山形/8/89株に対する抗血清に対しては、HI価1:320〜1:640を示したことから、分離株はC型インフルエンザウイルスであると同定した。

広島県保健環境センター
高尾信一 島津幸枝 福田伸治 野田雅博 徳本静代
山形大学医学部細菌学講座 松嵜葉子

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