注射による麻薬使用者での創傷性ボツリヌス症−英国・ロンドン
(Vol. 21 p 149-149)

長期にわたるヘロイン注射歴のある34歳白人女性が、知覚鈍麻を伴わない近位筋を中心とした全身の筋麻痺、咽頭部の筋および眼筋麻痺、呼吸不全でロンドン市内の病院に入院した。ボツリヌス菌毒素、菌培養の結果は出ていないが、患者は特異的なボツリヌス菌抗毒素に反応している。他の神経筋麻痺の原因は筋電図や髄液検査の結果によって除外されている。また末梢神経障害の兆候はない。筋傷害のマーカーの血清クレアチンキナーゼは正常であり、このことから麻痺の原因が急性のミオパチーであるとは考えにくい。この症例は英国での創傷性ボツリヌス症の初の報告である。患者は薬物を何年間も皮下、筋肉内に注射していた。入院時、患者の殿部には薬物注射による2カ所の注射痕があった。患者は、1999年11月にやはり注射が原因の臀部の膿瘍で入院している。創傷性ボツリヌス症は最近ノルウェーとスイスで皮下、筋肉内に注射していた薬物中毒者で報告されている。米国では数年前'black tar'ヘロイン注射に伴う症例が報告された。

(Eurosurveillance Weekly No.20、 2000)

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