10〜19歳のワクチン接種−WHO
(Vol. 21 p 150-150)
WHOは、思春期(10〜19歳)のワクチン接種の推奨についての方針をまとめた。
ジフテリアトキソイド:思春期に破傷風・ジフテリア(Td)ワクチンの追加接種を推奨する。もし幼小児期に接種されていなければ通常のスケジュールに従いTdを3回接種すべきである。流行に直面したらTdを接種すべきである。
B型肝炎ワクチン:WHOはB型肝炎ワクチンの追加接種を現在のところは推奨しない。キャッチアップキャンペーンは幼小児からのワクチン接種計画をし損ねた年長児への接種に有用かもしれない。流行地への旅行者、注射による薬物使用者、男性同性愛者、B型肝炎患者との接触者、医療従事者、透析患者、養護施設長期入居者、血液製剤を用いる血友病患者などはワクチンによる恩恵を受ける。
麻疹ワクチン:乳幼児への定期接種が麻疹のコントロールと根絶への基本骨格をなす。9カ月時に1回接種することが麻疹のコントロールと根絶へのカギとなる戦略である。根絶に向けては2回以上の接種が必要で、麻疹に最も感受性をもつ年齢層のすべての小児と思春期に補足的な接種をすべきである。中高校は生徒間での流行を避けるために追加接種するのもよい。
百日咳ワクチン:現在のところ推奨の位置づけにない。
ポリオワクチン:流行地への旅行者には、ワクチン接種歴があれば1回追加接種を、なければフルコースを推奨する。流行地の思春期は追加接種の必要なし。
破傷風:侵淫地での新生児破傷風根絶活動では、思春期の女性はTdあるいはTTを接種すべきである。定期接種の一環として、女性(思春期も含む)は破傷風トキソイド(TdあるいはTT)の少なくとも2回接種を分娩の2週以上前に終えるべきである。財源などに余裕があれば、すべての思春期を対象にTd追加接種を行うべきである。外傷後にTTの代わりにTdを追加接種すべきである。
結核:結核感染の危険性が高いすべての国において、幼小児期の重症な結核感染症を防ぐため、乳幼児は生後できるだけ早くBCGを接種すべきである。思春期の追加接種は推奨しない。
黄熱:黄熱流行地への旅行者は、国際保健規約(International Health Regulation)にしたがって、ワクチン接種が必要である。思春期年齢については、流行をコントロールするためのワクチン接種としても考えられる。
(WHO、 WER、 75、 No.22、 183-187、 2000)