風疹ワクチン−WHO
(Vol. 21 p 150-150)
先天性風疹症候群(Congenital rubella syndrome、 以下CRS)の世界規模的被害は、その制圧と予防を主張するために、十分特徴づけられてきた。しかし、特に途上国において、国および地域レベルでの詳細を推定するには、さらなる疾病研究が求められている。そのような研究により、風疹制圧にかかる努力と、他の健康問題との間の優先度の比較が容易となり、費用と効果についての評価がより明確になるであろう。
RA27/3株風疹ワクチンで証明された効果と安全性の観点から、 CRS抑圧が公衆衛生上優先されると考えられるすべての国に対し、WHOはその使用を推奨する。麻疹・風疹ワクチン(MR)や麻疹・風疹・おたふくかぜワクチン(MMR)の使用を通じ、現在行われている世界的な麻疹制圧の努力を、風疹制圧にも波及させるべきである。
風疹ワクチンを成人へ投与しても、ウイルスの感染動態は変わらないであろう。一方で、小児へ不適切なワクチン接種を行うと、受胎可能年齢の女性で感受性が増加するかもしれず、それゆえCRSの危険が増すかもしれない。従って子どもの予防接種を完遂し、高い予防接種率を維持することが肝要である。大規模な子どもへの風疹予防接種は、高い接種率(80%以上)でなければ推奨されない。
大規模な小児予防接種を通して、風疹とCRS抑圧を目指している国々は、受胎可能な女性に免疫があるか確認すべきである。若い女性を代表する検体で、風疹抗体の血清スクリーニングを日常化することが、集団におけるCRSの危険性を監視する上で、感度の高い手段として推奨される。
(WHO、 WER、 75、 No.20、 161-169、 2000)