手足口病患者からのコクサッキーウイルスA16型の分離、2000年−山形県
(Vol.21 p 143-143)
感染症週報によれば、手足口病の流行は、熊本県(エンテロウイルス71型を分離)など一部の地域を除けば全国的にはまだ少ない。山形県東村山郡山辺町において、4月25日〜5月16日までの手足口病の地域流行からコクサッキーウイルスA16型(CA16)を分離したので報告する。
山形県では、2000年第16週までの手足口病の患者報告数は13件であったが、第17週に山辺町の1小児科定点から8名の患者報告があった。
同定点から5月9日〜16日に10件の咽頭ぬぐい液が搬入され、ウイルス分離を行った。ウイルス分離には、HEF、HEp-2、Vero、MDCK、GMKの5細胞を用いた。10件中7件でHEF、Vero、GMK細胞に細胞変性効果が認められ、CA16と同定された。同定は、国立仙台病院ウイルスセンター分与のCA16抗血清を用いて中和試験を行った。
同定点では、4月25日〜6月6日まで、0歳1名、1歳11名、2歳6名、3歳11名、4歳10名、5歳以上9名、合計48名の手足口病患者が確認された。山辺町の保健福祉課には、同時期に1保育所(30名)、1幼稚園(17名)、小学生(4名)、中学生(2名)の患者発生が報告されている。その中に、兄弟感染が5組あり、家族内感染が疑われた。臨床症状は、発熱がなく、口腔内疼痛も弱く、皮疹主体の軽症者が多かった。
山辺町の流行とほぼ同時期に、散発例として、近隣の市町村からも2例のCA16が分離された。その後、第22週に入り、県内の他地域における保育園、幼稚園での集団発生があり、患者数が急増している。
山形県衛生研究所 後藤裕子 村田敏夫 水田克巳 村山尚子 早坂晃一
山辺こどもクリニック 板垣 勉