海浜公園の水遊び場で起きた胃腸炎集団発生、1999年−米国・フロリダ州
(Vol. 21 p 171-171)

1989年以来、米国ではレクリエーション関係の水遊び場(プール、スパ、(温)水遊戯施設、海、川、池等)関連の170の集団発生が報告されている。今回、1999年にフロリダで発生した胃腸炎の調査について報告する。

8月23日〜27日の間、Volusia郡健康課は3人の子どもがShigella sonneiに感染したとの報告を受けた。彼らの共通項として8月7日に開園した海浜公園の噴水で遊んでいたことがわかった。危険因子を探るため、対照群として8月14日に公園近くでパーティーをした10代の34人と、健康課に病気を報告した患者家族52人を含む公園来訪者でケースコントロール調査を実施した。症例定義は「8月7日〜27日の間に公園に行き、その後12日以内に腹痛あるいは下痢(24時間以内に3回以上の軟便)をきたした者」とした。

調査に応じた86人の公園来訪者のうち38人(44%)が症例定義に合致、発病日は8月15日〜9月2日に及んだ。患者の年齢は2歳〜65歳(中央値8歳)、対照者の年齢は5歳〜47歳で中央値は15歳。患者のうち25人(66%)が男性。症状は下痢(97%)、腹痛(90%)、発熱(82%)、嘔吐(66%)、血便(13%)など。S. sonneiが患者14人中5人(36%)の便培養から分離された。またCryptosporidium parvumのオーシストが2人の便から同定された。対照群では32人が噴水に入っていたのに比べ、患者38人は全員が噴水に入っており、うち2人以外は皆その水を飲んでいた。

8月27日に調査員は公園の環境調査を行った。Daytona Beachの隣接する約2〜3エーカーの舗装された範囲を調べたが、そこにはバスルーム、屋外シャワー、自動販売機、そして噴水があった。噴水の水は循環式になっており、遊び場などからの水が排水として地下に貯められていた。循環水量は 3,380ガロンで、循環システムの最低流量は 115ガロン/分であった。水は約30分で一循環する。水は貯水槽に戻される前に塩素消毒され、その後数本の高圧噴水ノズルから噴出されていた。フィルターシステムはなかった。調査員は水の汚染についていくつかの可能性を挙げた。例えばここの噴水はオムツをした子どもやヨチヨチ歩きの子どもに人気があり、子どもたちはしばしばノズルの上に立っていた。塩素の濃度はチェックされておらず、7〜10日で交換されるべき塩素錠剤が、開園した8月7日以来交換されていなかった。

8月7日〜噴水を止めた27日までの間に約4,800人が公園を訪れたと推定された。いくつかの改善策が講じられた後の12月12日に噴水が再開された。まず、カートリッジ型のフィルターが取り付けられた。そして塩素濃度のモニターがとり入れられ、残留塩素濃度が3ppm以下になると自動的に噴水が停止するようになった。第2に来訪者に対して、噴水に入る前にシャワーを浴びることと、噴水の水を飲まないことを注意した掲示がなされた。第3にはオムツをしている子どもの噴水への立ち入りを禁止した。この噴水に関連した症例発生は以後なくなった。

(CDC、 MMWR、 49、 No.25、 565-568、 2000)

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