HBe抗原陰性のB型肝炎ウイルス感染医療従事者からの感染予防に関する新ガイダンス−英国
(Vol. 21 p 172-172)
HBe抗原が陰性のB型肝炎ウイルス感染医療従事者が、「暴露となり得る医療行為」(EPPs:exposure prone procedures)、すなわち、医療従事者の血液が患者の組織に接触することがあり得るような行為、を通じてB型肝炎ウイルスを感染させる可能性があることを、最近のいくつかの事例が示している。そのような事例は、"pre-core mutants"と呼ばれる、e抗原産生能を欠くが感染性ウイルス粒子を形成する変異ウイルス株によるものとされている。新しいガイダンスは、B型肝炎ウイルスキャリアーの医療従事者からの感染を予防するため、既に出された提言を補足するものである。
HBs抗原陽性、かつ、HBe抗原陰性で、EPPsを行う医療従事者は、血液中のウイルス量(HBV DNA)を測定しなければならない。ウイルス量が全血中1,000/mlを超える医療従事者はEPPsを実施してはならない。ウイルス量が全血中1,000/mlを超えない医療従事者はEPPsに関する制限はないが、患者や接触者への感染のリスクを最低限に抑えるよう嘱託医に相談し、12カ月ごとに検査すべきである。その場合、ウイルス量が全血中1,000/mlを超えるか、患者にB型肝炎ウイルスを感染させたことが判明した際にはEPPsを実施してはならない。
厚生省や病院管理部門は、血液が関わる医療事故を扱う医療スタッフの任命と、B型肝炎ウイルス暴露後のワクチン接種や免疫グロブリン投与に関する検討を進めるべきである。HBe抗原が陰性の、B型肝炎ウイルスに感染しているEPPsを行う医療従事者は、2001年1月までに、このガイダンスに従い評価を受けなければならない。なお、HBe抗原陽性の医療従事者は既にEPPsを禁じられている。
(CDSC、 CDR、 10、 No.28、 249、 2000)