西ナイルウイルスに関する最新情報−米国
(Vol. 21 p 199-199)
1999年の西ナイルウイルスによる脳炎の集団発生以後、大西洋とメキシコ湾岸の17州、ニューヨーク市、首都ワシントンで、西ナイルウイルスを監視するため、媒介蚊、養鶏場定点、野鳥、西ナイルウイルスに感染する可能性のある哺乳類(馬など)、ヒトのサーベイランスを行っている。2000年8月7日時点の最新情報を紹介する。
野鳥の調査では、米国北東部の4州の34郡から188羽の感染が確認され、うち111羽(59%)が8月1日以降報告されている。ニューヨーク州が128羽と最も多く、ニュージャージー州が54羽とそれに次ぐ。147羽(78%)がカラス、23羽(12%)が青カケスであった。養鶏場定点では西ナイルウイルスの感染は報告されていない。
RT-PCR法、あるいはウイルス分離による蚊の調査では、ニューヨーク州の38カ所の蚊および、コネチカット州の1カ所の蚊から西ナイルウイルスが検出された。西ナイルウイルスが検出された蚊の種は、Culex pipiens/restuans、Aedes japonicusであった。
西ナイルウイルスサーベイランスの調査結果から、西ナイルウイルスの侵淫地は1999年と比べ北東へ拡大していると考えられる。
2000年8月4日ニューヨーク市の保健局は、ウイルス性脳炎で南リッチモンド郡の病院に入院中の78歳の患者が西ナイルウイルス感染症であることを発表した。同患者の脳脊髄液および血清中のIgM抗体(ELISA)が有意に上昇していた。回復期血清のIgG抗体(中和抗体法)については検査中である。この患者が感染した時期と場所は、発症日が7月20日であること、発症以前の渡航歴がなかったことから、蚊の殺虫スプレーが散布された7月19〜20日以前にリッチモンド郡で感染したと考えられている。
(CDC、 MMWR、 49、 No.31、 714-717、 2000)