医療従事者の職場での血液媒介ウイルス暴露のサーベイランス、1997年7月〜2000年6月−英国
(Vol. 21 p 225-226)
イングランド、ウェールズ、北アイルランドでは、1984年より医療従事者の血液媒介ウイルス感染のサーベイランスが行われている。1997年7月からは約200の労働衛生部局が参加した詳細なサーベイランスが始まっている。2000年6月末時点で 827件のHIV、HCV抗体、あるいはHBs抗原陽性患者由来の血液等による暴露例がPHLS感染症サーベイランスセンターへ報告されている。うち739例(88%)が、いずれかの単一ウィルスによる暴露であった。396例がC型肝炎ウイルス(HCV)感染患者への暴露、 242例がHIV、 101例がB型肝炎ウイルス(HBV)による暴露であった。また、 83例がいずれか2種のウイルス、5例が3種すべてによる暴露であった。経皮的な暴露が70%を占め、うち3分の2が注射針によるものであった。看護婦(337例、 41%)、医師(262例、 32%)が最も多く報告されたグループであった。
1997年からの詳細なサーベイランスによると、HIV陽性の血液等への暴露後予防投与を受けたのは140例で、うち100例はAZT、 3TC、 インジナビルを服用したと報告された。44例が定められた服薬シリーズを終了、 57例が早期に主に副作用のため中止している。2000年3月からは、すべての報告例について、予防投薬を受けた場所と、感染源のHIV感染状況が質問事項に加えられた。
2000年3月からHIVおよびHCV暴露は、6カ月間感染状況を追跡報告することになり、6月末で297例が報告された。うち201例がHCVの暴露で、93例(46%)が6カ月間追跡後も陰性だった。残り54%はまだ報告がないが、HCV陽転例は確認されていない。HIV暴露112例でも追跡が行われ、予防内服にもかかわらずHIV抗体陽転例が1例報告されている。
(CDSC、CDR、10、No.33、 293、2000)