保育園における腸管出血性大腸菌(O26:H11)集団感染事例−福岡市
(Vol.21 p 273-273)
2000(平成12)年9月14日、市内医療機関より市内在住5歳児からO26(VT1)を検出したとの発生届がM保健所にあり、全園児162名、職員23名の検便が実施された。なお、同園は1997(平成9年)7月にもO26(VT1)の集団感染(園児26名、家族16名)があった施設である。
2.5mg/l亜テルル酸カリウム加ラムノースマッコンキー寒天培地での直接分離培養とマイトマイシン(200ng/ml)を添加したCAYE培地で37℃18時間以上振盪培養後、ノバパスベロ毒素EIAキット(BIO-RAD)によりベロ毒素の検出を平行して実施した。園児29名(初発園児含む)、保護者4名の計33名からO26が分離された。その他、保育園では給食を提供していたことから、保存食(昼食12検体、おやつ11検体)、給食施設内のふき取り14検体および砂場の砂、飼育動物(カメ)の飼育水についても調べたがO26は検出することはできなかった。1997年のO26集団発生時にも感染していた園児のうち4名(12、13、14、15)については今回もO26が分離されたことから、前回分離された菌株と今回分離された菌株を比較するため制限酵素XbaIを用いてパルスフィールド・ゲル電気泳動による解析を行なった(図1)。今回分離された菌株は相互に90%以上の高い近似性が認められ、同一感染源と推定されたが、1997年に分離された菌株とは違うパターンを示した。
福岡市保健環境研究所微生物課(臨床担当)