リフトバレー熱、2000年8〜10月−サウジアラビア
(Vol. 21 p 275-275)

2000年9月10日からサウジアラビア保健省、次いでイエメン保健省に、両国の境界地域から原因不明の出血熱患者、野生動物の死亡や流産が報告された。それらの患者は、アラビア半島では初めて発生したリフトバレー熱(RVF)と確定診断された。

10月26日までにサウジアラビアから、入院が必要で重症なRVF疑似症例453例が報告された。疑似症例148例の検体が調べられ、140例(95%)がウイルス抗原陽性ないしは血清IgM抗体価の有意な上昇が確認され、確定例とされた。疑似症例での死亡率は19%、年齢は中央値47歳(年齢:1〜95歳)、最も若い確定例は15歳であった。疑似症例の78%が男性、81%がサウジアラビア国民、18%がイエメン国民であった。77%の症例が南西のJizan県からの報告で、北東のAsir県からの報告も17%と増加してきている。しかも、1例を除いたすべての他の地域からの報告例が、最近の両県への旅行歴を有するものであった。

調査の済んだ180例中76%が野生動物、特に山羊・羊との密な接触歴が有り、64%が死んだ野生動物や流産した野生動物との接触歴があった。ほぼ全員が蚊に刺されており、彼らの居住地には蚊が生息していた。

最初に人の症例が報告され、集団発生の中心地でもあるAl Ardach郡の山裾の灌漑された農場で、Culex tritaeniorrhynchusコガタアカイエカ)とAedes caspiusの2種の蚊が多数生息していた。その2種の蚊からRVFウイルスが分離された。Al Ardach郡で行われた山羊・羊の血清抗RVF抗体価調査では、90%以上が抗体を保有していることがわかった。

(WHO、 WER、 75、 No.46、 370-371、 2000)

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