ハンセン病制圧キャンペーン
(Vol. 22 p 8-8)

1995年に導入されたハンセン病制圧キャンペーン(leprosy elimination campaigns: LEC)は、有病率の高い地域をほぼ網羅した26カ国において、地域組織や国家機関を巻き込んで実施されている。これはWHOのサポートを受け、地域保健関係の人々が村や地域を訪問し、患者を発見し、早期診断・早期治療を行うものである。そして、住民に、ハンセン病の治療は無料であること、治癒する病気であることを教育している。

その教育方法としてはマスメディアやポスター、寸劇などあらゆる手段を用いてきたが、その結果住民意識が高まり、隠れていた患者や奥地の患者達も発見できた。そのため、LECの期間中には新規患者の発見が増加した。LECの1999年の成果をみると、バングラデシュ、ブラジル、チャド、インドネシアなどの有病率の高い国の2億2,300万人以上の中から4万人以上の新規患者を発見した。また2000年1月〜6月までの半年間で、インドを含めた4億6,600万人以上の中から17万6千人以上の新規患者を発見している。LEC施行後は新規患者数の激減がみられ、確実に効果が上がっている。

治療については、WHOが推進している多剤併用療法(MDT)の成績が良く、それによる治癒率は少菌型で67%〜100%、多菌型でも38%〜100%であった。低い治癒率は主に定期的服薬を行わないためであった。

LECは患者の発見と確実な治療、神経障害の防止に威力を発揮するが、地域選定・計画立案を十分行い、さらに将来を見据えると、地域のスタッフや民間団体の協力、さらには自立を促すことが不可欠である。

(WHO、 WER、 75、 No.45、 361-366、 2000)

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