世界のAIDS/HIV感染状況(1)−WHO
(Vol. 22 p 8-9)

WHOとUNAIDSは、2000年末の世界のHIV感染者/AIDS患者は3,610万人であり、うち530万人(60万人が15歳未満の小児)が2000年の新規感染者であると推計した。また、2000年末までのHIV/AIDSによる累積死亡者数は2,180万人であった。HIVによる死亡率は増加が続いており、2000年の1年間で300万人の死亡が見積もられた。女性の死亡者数も増加が続いており、2000年の成人のHIVによる死亡者の52%が女性であった。

2000年11月15日現在、WHOに公式に報告されたAIDS患者数は2,312,860人である。昨年11月と比較すると111,399人の増加であり、先進国における新規AIDS患者発生数の減少が、途上国、特にサハラ以南アフリカ地域での患者数増加に相殺される状況となった。

地域別にみると、サハラ以南のアフリカ地域では、2000年に380万人が新規にHIV感染したと推測された。サハラ以南アフリカ地域の人口は世界人口の10分の1にすぎないにもかかわらず、2000年の世界の新規HIV感染者の72%がこの地域に集中していた。アジア太平洋地域では 640万人がHIVに感染していると推測され、その多くが南アジア、東南アジアの幾つかの国に集中していた。南米およびカリブ地域では180万人がHIVに感染していると推測され、主として男性間性的接触と静注薬物濫用により感染が広がっている。東ヨーロッパおよび中央アジア地域ではHIV/AIDSが昨年の60%増と、最も増加が著しかった。推定新規HIV感染者25万人のうち、大部分が静注薬物濫用による感染と考えられた。北アフリカおよび中東地域では、2000年の推定新規HIV感染者数は8万人と増加傾向が示唆された。北米、西ヨーロッパ、太平洋地域の先進諸国では、抗ウイルス剤の普及によってAIDS発症、死亡、およびHIVの母子感染が減少を続けているが、新規HIV感染者数は近年横ばい傾向であった。この地域の推計HIV感染者数は150万人で、AIDSによる死亡者数の減少とHIVの感染拡大により、わずかに増加していた。

(WHO、 WER、 75、 No.47、 379-383、 2000)

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