メキシコからの帰国旅行者におけるコクシジオイデス症集団発生、 2000年−米国・ペンシルベニア州
(Vol. 22 p 10-10)
コクシジオイデス症は、土壌に存在するCoccidioides immitis 胞子の吸入により伝播する真菌症で、米国南西部および中南米の一部で地方病となっている。またC. immitis 胞子が砂塵嵐、自然災害または掘削で空中に放出されると、感受性のある人々が暴露され、しばしば集団発生となる。
ペンシルベニア州の教会メンバー35名が教会の建築のために、メキシコのHermosilloに2000年1月24日から1週間滞在した。帰国後2週間以内に27例がインフルエンザ様症状を訴えたため、CDCで急性期の血清を検査することになった。その結果、1名がC. immitis に対する抗体陽性を示し、ペンシルベニア州衛生部とCDCは集団発生の程度と危険因子の検証のため、コホート疫学研究を実施した。
教会メンバー35名のうち30名が疫学研究に同意した。男性は29名、平均年齢は45歳であった。23名がメキシコ滞在中およびペンシルベニア州帰国後3週間以内に何らかの症状を訴え、血清学的に8名(うち7名が有症)がコクシジオイデス症と診断された。有症期間は平均7日間で、頻度の高い症状は倦怠感、発熱、関節痛、筋肉痛(各々71%)で、3名は発疹を、4名は咳の症状を呈していた。1名がICU 入院(1日間)を要した。メキシコでの活動内容と、感染および発病の有無とに有意な関連はなかったが、22名の教会メンバーは、きわめて埃っぽい部署で働いていたと報告された。
(CDC、 MMWR、 49、 No.44、 1004-1006、 2000)