回帰熱輸入4症例−ドイツ
(Vol. 22 p 41-41)
回帰熱はボレリア属感染による全身性疾患であり、再発性の発熱が特徴で、肺炎、心筋炎を合併することがあり、無治療では3〜4割の致死率を有する。シラミまたはダニが媒介し、潜伏期は2〜18日である。回帰熱は、アジア、アフリカ、アメリカには常在しているが、ヨーロッパには常在しない。ドイツでは届け出感染症の一つであり、1997年以来、4例の輸入例が報告されている。
4例のうち3例が男性で、年齢は20〜38歳であった。2例はアフリカからの輸入例で、シラミが媒介し、血液中に回帰熱ボレリアが確認され、残る2例は中央アメリカとエジプトまたはイスラエルからの輸入例で、ダニが媒介したと考えられた。3例は帰国後2〜7日後、1例は旅行中に、発熱、全身倦怠、頭痛も含め全身の痛み、嘔吐などの症状で入院した。1例は肺炎、髄膜炎を合併していた。シラミの咬み跡と肝脾腫が各1例に認められ、2例に白血球増多、1例にCRP上昇が認められた。いずれもマラリアが疑われたが、入院から1〜13日の間に血中のらせん型の菌体が確認され回帰熱と診断された。1例がエリスロマイシン、2例がドキシサイクリンで治療され後遺症なく退院した。海外帰国者の発熱ではマラリアを常に念頭に置くべきだが、地域によっては回帰熱の可能性も考慮すべきである。
(Eurosurveillance Weekly、 No.51、 2000)