麻疹・風疹・先天性風疹症候群(CRS)の状況、1997〜1999−米国およびメキシコ
(Vol. 22 p 42-42)

米国の麻疹:1997年以降の報告症例は非常に少なく1997年 138例、1998年 100例、1999年 100例(年間人口10万当たり0.05人)であった。これら338例中116例(34%)が他国からの輸入例、63例(19%)が輸入例と疫学的関連があり、39例(12%)がウイルス学的に輸入例であることが示された。1999年3月専門家会議において、米国ではもはや麻疹の流行はないと結論された。2歳児の麻疹ワクチン接種率は、1985年の61%から1997年の91%へと上昇した。1998〜99年までに、2度目のワクチン接種の年齢が州法で定められ(幼稚園児〜高校3年生)、60%の児童生徒に接種された。

メキシコの麻疹:1997〜99年、メキシコでは麻疹の確定症例の報告はなかった。「発疹疾患の実験室診断のためのシステム」の評価のためのほとんどの指標が1999年には目標を達成した。1990年(患者数68,782、死亡5,899例)以降数々の戦略が取られ、小児のワクチン接種率は上昇した。1998年5月には麻疹単味ワクチンからMMRへ切り替えられ、初回の接種時期が9カ月から12カ月へと変更された(2回目の接種は6歳)。国家保健週間(National Health Week)が年3回導入され、1年生以下の未接種小児のワクチン接種が行われている。1997年には1〜4歳の初回接種率は97%であり、1998〜99年もそのレベルを維持している。

米国の風疹・CRS:風疹ワクチンは1969年に認可を受けた。1979年からはMMR が採用され、風疹ワクチン接種率はほとんど麻疹ワクチン接種率に近い。1997年、98年、99年の確定報告患者数はそれぞれ172、353、267例(年間人口10万あたり0.5人未満)であった。ほとんどの患者はヒスパニック系であった。ヒスパニック系の症例が占める割合は、1991年の19%から99年には78%へ上昇している。1998〜99年は80%が非米国生まれであった。輸入状況が判明した661症例のうち54例(8.2%)が外地感染による例であった。感染地は、メキシコ、中米および南米、スペイン語系カリブ海沿岸諸国、日本およびロシアであった。1997〜99年のCRS確定症例24例のうち、20例がヒスパニック系の母親から生まれた症例であった。14例の母親が非米国生まれであり、10例の母親が米国外で感染を受けた輸入例であった。

メキシコの風疹・CRS:メキシコの風疹の報告は、1978年以降臨床診断に基づいていたが、1993年からは実験室診断となった。また、風疹感染のあった妊婦の追跡調査も行われた。1998年には1歳および6歳児のMMR2回接種として、ワクチンが小児の定期接種に組み込まれた。1978年〜99年まで、風疹の報告は3〜5年ごとにピークが見られた。1990年には最多の患者数(65,591人・人口10万あたり79)が報告されたが、1999年には21,173例となった(68%減少)。1997〜99年の報告症例のうち37,346例(34%)が15〜44歳であった。1997〜99年の集団発生で感染した266人の妊婦の調査で、50例のCRS確定症例が確認された。

(CDC、 MMWR、 49、 No.46、 1048-1059、 2000)

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