2型ワクチン株由来ポリオウイルスの"循環"、 1982〜1993年−エジプト
(Vol. 22 p 66-67)

エジプトで1988〜1993年にかけて、2型経口ポリオ生ワクチン変異株(2型OPV変異株)によるポリオ患者32例が発生した。当初、それら分離株は抗原性の点でワクチン株らしくはないとされていたが、1999年に遺伝子配列を調べた結果、すべて2型OPV変異株(Sabin 2型ワクチン株との遺伝子一致率93〜96%)であると判明した。

エジプトで2型ポリオウイルス野生株が患者から分離されたのは1979年が最後で、今回の2型OPV変異株は、それら野生株との遺伝子配列の一致率が81%未満で関連がなかった。また、今回の2型OPV変異株は、急性弛緩性麻痺(AFP)患者から通常分離される2型ワクチン由来株(Sabin 2型ワクチン株との遺伝子一致率99.5%以上)とも異なっていた。

遺伝子配列の多様性の検討から、今回の2型OPV変異株は1982年ごろの2型OPV変異株が流行しながら変異を繰り返しつつ多様化し、1982〜1993年にかけてエジプトで循環していたと推察された。

2型OPV変異株は、その侵淫地でのOPV接種率が低い時期に循環した。1990年代半ば以降OPV接種率が改善し、1993年以降大きく変異したワクチン由来株は見つかっていない。

今回の事例から、OPVを使用している国では、野生株のみならず、OPV変異株の流行を防ぐためにも、OPV接種率の低い集団を対象に重点的なワクチン政策をすすめる必要性を学んだ。

(CDC、 MMWR、 50、 No.3、 41-42 & 51、 2001)

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