2001/02シーズン用インフルエンザワクチン推奨株−WHO
(Vol. 22 p 91-91)

2000年10月〜2001年2月の世界におけるインフルエンザの活動性は、北半球では軽度から中等度であった。南半球では流行はなかったが、 A(H1N1)、 A(H3N2)、 B型すべてのウイルスが分離された。北半球では2000年11月第3週から主にA(H1N1)型による流行が始まり、12月に患者数増加、2月現在継続している。同時にB型の流行もみられた。A(H3N2)型は散発例のみであった。

フェレット感染抗血清を用いた血球凝集抑制試験(HI)によるウイルス抗原分析の結果、今シーズンのA(H1N1)型分離株はほとんどがA/New Caledonia/20/99の類似株であったが、一部A/Bayern/7/95 類似株も分離された。A(H3N2)型分離株はほとんどがA/Moscow/10/99およびA/Panama/2007/99類似株であった。B型分離株の大多数はB/Sichuan(四川)/379/99類似であったが、香港における分離株の一部はB/Shangdong(山東)/7/97類似であった。

今シーズンのインフルエンザワクチン株はA/New Caledonia/20/99、 A/Panama/2007/99、 B/Yamanashi(山梨)/166/98であるが、接種者において分離株に対する血清HI抗体陽性率(HI価≧40で判定)を検討した。A(H1N1)型分離株に対する抗体陽性率は成人で平均80%、 高齢者で62%、 A(H3N2)型分離株に対しては成人81%、 高齢者77%、 B型分離株に対しては成人69%、 高齢者56%であった。A(H1N1)およびA(H3N2)型分離株に対する抗体陽性率は、ワクチン株に対する抗体陽性率とほとんど同じであったが、B型は分離株に対する抗体価はワクチン株に対するものより平均41%低かった。

上記解析を受け、WHOは2001/02シーズン(北半球では冬季)用のワクチンとして以下の株をすべて含むよう推奨した。

  A/New Caledonia/20/99(H1N1)類似株
  A/Moscow/10/99(H3N2)類似株
  B/Sichuan(四川)/379/99類似株

人口のほとんどはA(H1N1)、 A(H3N2)、 B型インフルエンザに罹患した既往があると思われ、小児以外の全年齢層においては、インフルエンザワクチンの1回投与で免疫効果はあると考えられる。過去にインフルエンザワクチン未接種の小児は、少なくとも4週間の間隔をおいて2回接種を受けるべきであるとしている。

(WHO、 WER、 76、 No.8、 58-61、 2001)

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