南カリフォルニアの男性同性愛者における梅毒の多発、 2000年−米国
(Vol. 22 p 91-91)
米国における梅毒は、1990年代には南部および都市部の黒人での異性間性的接触による発生が報告されていたが、近年、男性同性愛者(Men who have Sex withMen: MSM)において集団発生が見られるようになった。
2000年1月〜7月に南カリフォルニアでは130例の梅毒症例が報告され(昨年同期は100例)、特にMSMについては昨年同時期の26例(26%)から66例(51%)へと増加した。MSMの41%は白人で、36%がヒスパニック、18%が黒人であった。HIV感染状況が判明している症例のうち60%がHIV陽性であった。行動調査では66例のMSMのうち50%に行きずりの相手との性的接触があり、26%はbathhouseという場所で、3%はインターネットを通して性的接触の相手と出会っていた。20%がコンドームを使用しており、40%に結晶メタアンフェタミンなどの薬物使用歴があった。
対策として、地域保健部局によるメディア・キャンペーン・教育、そしてbathhouseやゲイ・バーなど、MSM症例が性的接触の相手と出会う場所における梅毒スクリーニングが実施された。
今回の報告は、HIVや他のSTD(性感染症)感染につながる危険な性行動に参加するMSMが増加していることを示している。その要因の一つとしては、1996年以降のhighly active antiretroviral therapy (HAART)の導入により、AIDSの発症およびそれによる死亡が減少し、MSMにとってのHIV感染の脅威が減少していることが考えられる。MSMにおける梅毒の増加は、 HIV感染が増加する危険性を示唆していると考えられる。
(CDC、 MMWR、 50、 No.7、 117-120、 2001)