米国小児科学会と衛生局によるチメロサール添加B型肝炎(HB)ワクチン接種指針に関する1999年合同声明の影響
(Vol. 22 p 93-93)

HBワクチンの保存剤チメロサールに有機水銀が含まれている問題から、1999年7月、米国小児科学会と衛生局はHBs抗原陰性の母親から生まれた新生児に限り、初回HBワクチン接種を生後2〜6カ月時に延期、また、HBs抗原陽性および抗原状況不明の母親から生まれた新生児には、従来通りの出生後12時間以内に初回HBワクチン接種をするよう声明を出した(本月報 Vol.21、 No.9、 p15参照)。同年9月、チメロサールを含まないHBワクチンが使用可能になり、米国衛生局は、以前のHBワクチン接種指針(すべての新生児に対する初回HBワクチン接種)の再開を勧告した。

1999年7月声明前後のHBワクチン接種状況の変化について調査が行われた。ウィスコンシン州では新生児のHBワクチン接種率が、1999年7月以前の84%から2000年3月の43%に低下した。オクラホマ、オレゴン両州でも減少し、オクラホマ州では新生児のHBワクチン接種率は2000年3月時点でも声明前の半分以下だった。ミシガン州では1999年12月に、HBs抗原陽性の母親から生まれた3カ月女児が劇症肝炎で死亡したことが報告されている。

1999年7月の声明はHBs抗原陰性の女性を対象にしていたにもかかわらず、誤解を招き、新生児のHBワクチン接種率低下につながっていた。

(CDC、 MMWR、 50、 No.6、 94-97、 2001)

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp

ホームへ戻る