九州地区における臨床由来A群溶血性レンサ球菌の検出状況(2000年)
(Vol.22 p 115-116)

九州地区では1986年から佐賀県、沖縄県、大分県の3地方衛生研究所(地研)の共同調査として、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が疑われる患者よりA群溶血性レンサ球菌(溶連菌)の分離を行い、その血清型別(T型別)を実施している。

調査を行っている3県の2000年の1定点当たり患者数は49.5人で、全国の53.1人に比べるとやや少ないが、これは佐賀県と沖縄県では全国的な傾向と同様に流行がみられたが、例年定点当たり患者報告数の多い大分県では1999年に流行があり、 2000年は減少したことが影響している(表1)。九州3地研における2000年の分離状況は、A群溶連菌497株で、その内訳は佐賀県 100株、沖縄県 130株、大分県 267株であった。月別では5〜6月と晩秋〜冬季にかけて多く分離された。

血清型別では、 T12が32%と最も多く、次いでT1が19%と多く分離され、その他はすべて10%以下であった。前年との比較では、 T2が4分の1以下(7.4%)に、 T4が2分の1(7.8%)に減少したのに対し、 T12が2.8倍に急増、 T1が1.7倍に増加した。各地研の分離状況では、佐賀県はT12が64%と前年の3.6倍に急増し大流行の兆候を呈した。沖縄県はTB3264とT4が各々21%で高く、 TB3264とT22(13%)の増加率が高かった。また型別不能株が多い傾向にあるが、今年は約3分の1(9.2%)に減少した。大分県は、 T1とT12が各々31%で約3倍に急増し、 T2が前年の3分の1(14%)に、 T4が5分1(3.4%)に減少し衰退の傾向を示した。佐賀県と大分県では一部似た傾向にあるが、沖縄県は異なった傾向を示している(図1)。

過去5年間の九州3県の分離状況では、 T1、 T2、 T4、 T12、 T28が比較的多く分離され主流を占めていた。近年ではT12が1996年以来減少傾向にあったが、2000年には急増している。また、その他のT型・型別不能が増加している。T2は1999年まで年々増加していたが、 2000年には急減した(図2)。

大分県衛生環境研究センター
阿部義昭 緒方喜久代 渕 祐一 帆足喜久雄
佐賀県衛生研究所    諸石早苗
沖縄県衛生環境研究所  久高 潤

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