Mycoplasma pneumoniae による地域的肺炎流行、 2000年−米国・コロラド州
(Vol. 22 p 146-147)
2000年1〜7月、 コロラド州Moffat郡(人口12,700人)において、 胸部レントゲン所見で109名が肺炎と診断された。前年同時期の患者数は21名であった。コロラド州公衆衛生環境部(CDPHE)とCDCの調査の結果、 本流行はMycoplasma pneumoniae によることが判明した。調査の結果、 91名の患者が症例定義に合致した。うち64名(70%)は4〜7月に症状を呈し、 患者の平均年齢は11歳、 59名(65%)が5〜14歳、 52名(57%)が男性であった。77名(85%)の患者記録を調べたところ、 症状は77名(100%)が咳、 72名(94%)が発熱、 44名(57%)が痰、 54名(70%)に肺の異常聴診が観察された。入院患者は3名であった。
2000年6月上旬CDCで、 7名の患者から採取した咽頭および鼻腔スワブについて、 細菌およびウイルスに対するPCR検査を行った。急性期および回復期のペア血清の得られた6名の患者(5名はPCR検査も実施、 1名はPCR未実施)ではRemel testを行った。さらに、 これらのペア血清を用いてCDPHEの検査所において、 呼吸器系ウイルスおよびM. pneumoniae に対する補体結合(CF)抗体価測定を行った。検査結果は、 8名の患者から採取した検体すべてがM. pneumoniae 陽性反応を示した。4名はPCRおよびRemel test陽性、 さらにCF抗体価の4倍上昇が観察された。2名はPCR陽性(血清は採取せず)、 1名はRemel test陽性かつCF抗体価が128倍の上昇(PCRは実施せず)、 1名はRemel test陽性かつCF抗体価の32倍上昇(PCR陰性)であった。Chlamydophila (Chlamydia ) pneumoniae に対するPCR結果、 ウイルス培養結果、 インフルエンザウイルスやRSウイルスを含む呼吸器系ウイルスに対する血清反応はすべて陰性であった。
6月中旬、 CDPHEはMoffat郡の公衆衛生保育係と共同で、 M. pneumoniae 感染が確定されたことを地域の健康管理提供者(local health-care providers)に知らせ、 患者に対する適切な抗生物質治療、 および患者と密に接触した人への治療を含む本症に関する情報を提供した。地域のマスコミにも同様の情報を流した。
(CDC、 MMWR、 50、 No.12、 227-230、 2001)