リンパ系糸状虫症−WHO
(Vol. 22 p 148-148)
リンパ系糸状虫症(LF)は寄生虫感染症であり、 全世界人口の18%にあたる11億人以上が感染危険地域に住み、 (亜)熱帯に約1億2千万人の感染者が見られる。90%はバンクロフト糸状虫、 10%はマレー糸状虫(アジアと太平洋諸国一部のみ)による。2,500万人に生殖器病変(ほとんどが陰嚢水腫)、 1,500万人(主に女性)に下肢リンパ浮腫/象皮症が認められる。80カ国で流行し、 患者の70%がインド、 ナイジェリア、 バングラデシュ、 インドネシアに集中している。
1997年にWHOと加盟国は世界保健総会でLF排除(elimination)計画を決議した。その主な方針は薬剤(アルベンダゾール、 イベルメクチンなど)による感染伝播阻止と、 苦痛・障害の緩和/予防である。
排除に向けた重要な第一段階は、 薬剤一斉投与をどこで行うかの決定で、 この「実行単位」の地図情報化が2000年に始まり、 アフリカの4カ国で既に完了した。現在アフリカの残る国々や、 アメリカ、 東地中海、 東南アジア、 西太平洋地域で進行中である。すべての地図化は2003年完了の見込みである。
2000年末までに25カ国がLF排除計画案、 またはそのための特別部局を作り、 既に14カ国で年1回の2剤一斉投与がおこなわれ、 2000年には320万人が治療された。2001年には27カ国で3,980万人への治療が予定されている。
(WHO、 WER、 76、 No.20、 149-154、 2001)