平成12年度デングウイルス感染事例−東京都
(Vol.22 p 170-170)

東京都では、 1999(平成11)年度より感染症発生動向調査にデングウイルスの検査を導入し、 2000(平成12)年度は「デング熱疑い」で医療機関より搬入された検体15件の検査を行った。その結果、 9件(7名)がデングウイルス感染陽性と判定された()。

デングウイルス感染の確認は、 IgM、 IgG抗体の検出(PanBio社)、 PCR法によるウイルス遺伝子の検出およびウイルス分離試験によって行った。IgM抗体検出によって感染を確認できたものが9件(7名)中7件(6名)と最も多く、 unitは11.2〜53.6であった。IgM抗体が陰性だった検体(No.6&7)は、 発病初期(1、 3病日)のものであり、 ウイルス遺伝子およびウイルス分離が陽性になったことで、 デングウイルス感染を確認することができた。これらは、 PCR法による血清型別の結果、 No.6が2型、 No.7が1型感染であった。

感染が確認されたすべての症例は、 発病前にフィリピン、 インド、 インドネシア等への海外渡航歴があり、 臨床症状は、 39℃以上の発熱、 発疹、 筋肉痛等を呈していた。

海外旅行者数の増大、 流行地域の拡大など、 我々がデングウイルスに感染する機会も増加傾向にある。デング熱患者の発生を監視し、 情報提供することがさらに重要になってくる。

東京都立衛生研究所・ウイルス研究科
田部井由紀子 吉田靖子 長谷川道弥 長島真美 平田一郎

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