動物の死体処理がもたらす人の潜在的健康被害のリスク解析、 2001年−英国
(Vol. 22 p 172-172)

英国では口蹄疫の流行の結果、 動物の死体処理がもたらす人の潜在的健康被害が懸念され、 同国保健省はリスク解析についての結果をまとめた。このリスク解析は住民の健康一般と、 職業的な暴露、 すなわち動物の死体処理業種の暴露も含まれる。

英国公衆衛生研究所(PHLS)は、 主に問題となる病原体は大腸菌O157、 カンピロバクター、 サルモネラ、 クリプトスポリジウム、 ジアルジアなどの微生物であるとした。細菌に関しては、 特に未処理水を供給するような私設水道において危険な病原体とされた。原虫は公設および私設水道で危険な病原体であるが、 ろ過処理が効果的なことが多い。また、 かつて牛海綿状脳症(BSE)との関連で、 1996年以前に出生した約40頭の牛がBSE流行当初地中に埋められた件に関し、 海綿状脳症対策諮問委員会(SEAC)は、 プリオンが水源へ混入した可能性は非常に少ない、 としている。

人が口蹄疫ウイルスに感染する確率も非常に低いと考えられ、 29例の可能性のある症例から得られた検体では、 すべて陰性であることが確認された。

今回の解析結果を受け、 英国保健省は動物の死体処理がもたらす人の潜在的健康被害において、 多組織間協力によるモニタリングとリスク管理を開始した。地域保健担当官は、 死体が埋められた地域周辺における水源モニタリングを、 地域感染症委員会(CCDCs)は、 管轄地域における胃腸炎症例の調査の徹底と報告を指示された。

(CDSC、 CDR、 11、 No.22、 2001)

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