陸軍基地での麻疹集団発生事例、 2000年−ドイツ
(Vol. 22 p 172-173)

2000年11月〜12月にかけて、 約2,000人が勤務する陸軍基地で、 24名の兵士が麻疹に罹患した。同基地での最初の症例は11月6日にカタル症状が始まり、 皮膚症状が現れたため11月8日に医療機関を受診した。流行曲線は2峰性を呈し、 11例が11月19〜24日に、 8例が12月3〜9日に発症し、 麻疹の潜伏期間(皮疹が出現するまで)を10〜19日間とすれば、 前者が二次感染例の集積、 後者が三次感染例の集積と考えられた。また、 残り4例は2つのピークの間に発症し、 二次感染とも三次感染とも考えられた。

患者の年齢は中央値21歳(18歳〜41歳)で、 2例だけが女性兵士であった。また、 5例が兵舎の病棟に勤務する隊員で、 8例が11月に入隊した新兵であった。24例中20例が検査診断(ウイルス分離、 血清IgM抗体、 PCR法のいずれか1つ以上)による確定例、 4例が臨床診断のみ(ただし、 疫学的に確定例との関連があった)の症例であった。24例中20例についてはワクチン接種歴の有無が判明し、 そのうち15例(75%)が未接種であった。

今回行われた対策は、 患者の隔離(入院するか、 基地外の自宅で療養)のみで、 接触者のワクチン接種等の対策は実施されなかった。

新兵のワクチン接種歴を確かめること、 様々な感染症に対するワクチンの追加接種を行うことは、 軍等の集団での感染症集団発生を予防するために有用であると考えられる。

(Eurosurveillance Weekly 、 No.24、 2001)

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