ポリオ根絶(eradication)計画の進捗状況、 2000年−WHO
(Vol. 22 p 173-173)

WHOは2000年末までを目標としたポリオ根絶を推進してきたが、 2000年末現在、 20カ国で野生株ポリオウイルスが伝播していると考えられる。12カ月未満の乳児を対象とする経口ポリオワクチン3回接種率は、 1998年(79%)と1999年(78%)でほとんど同じであった。2000年には、 ポリオ根絶計画において重要国であるアフガニスタン、 アンゴラ、 バングラデシュ、 エチオピア、 インド、 ナイジェリア、 パキスタン、 コンゴ、 ソマリア、 スーダンで、 全国一斉予防接種キャンペーンの実施回数が増加した。

1999年末の野生株ポリオウイルス分離報告国は30カ国であったが、 2000年では24カ国へ減少した。ポリオ報告数も1999年(7,141例)から2000年(2,849例)にかけ、 6割減少した(2001年4月19日時点)。世界の非ポリオ急性弛緩性麻痺症例(AFP)率は人口10万人当たり1.3(1999年)から1.5(2000年)へ増加し、 AFPからの適切な便検体検査率も67%(1999年)から75%(2000年)へ向上した。2型の野生株ポリオウイルス分離は、 1999年10月インドの報告以降ない。

2000年には148の検査機関がポリオ根絶計画に参加し、 AFPからの適切な便検体検査数も48,370件(1999年)から50,000件(2000年)へ増加した。ポリオ根絶後の検査機関におけるポリオウイルス管理のため、 2000年から一部の地域や国で検査機関のデータベースが作成されつつある。

WHOで規定する6地域のうち3地域(アメリカ地域、 西太平洋地域、 ヨーロッパ地域)では、 過去2年間野生株ウイルスによるポリオ報告例がない。全人口におけるポリオ流行地居住人口の割合は、 80%(1988年)から3分の1以下(2000年末)へ減少した。

アフリカ地域での非ポリオAFP率は人口10万人当たり0.8(1999年)から1.5(2000年)へ改善し、 また、 AFPからの適切な便検体検査率も31%(1999年)から52%(2000年)へ向上しているが、 依然、 ナイジェリア、 中央アフリカ(コンゴ、 アンゴラ)、 エチオピアなどで野生株ポリオウイルスが伝播していると考えられる。

東地中海地域では、 2000年に野生株ウイルスによるポリオが261例報告されている。そのうち175例がパキスタンからの報告であり、 その他に、 アフガニスタン、 スーダン、 ソマリア、 エジプトからも報告されている。

南・東アジア地域では、 野生株ウイルスによるポリオ報告が1,161例(1999年)から272例(2000年)と激減しているが、 これはインドでの減少の影響が大きい。その他に、 バングラデシュ、 ミャンマー、 ネパールから報告されている。

(WHO、 WER、 No.17、 126-131、 2001)

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