石川県における麻疹の流行
(Vol. 22 p 167-167)

石川県では、 2001年第8週(2/19〜2/25)より麻疹の患者報告がみられるようになった。この時点での患者数は、 金沢市保健所および能登中部保健福祉センター管内の3人であったが、 その後は増加し第12週(3/19〜3/25)以降は週当たり20〜35人程度で推移しており、 第20週現在(5/14〜5/20)までの累積患者数は250人となっている。

患者発生はほぼ全県的にみられるが、 地域別にその数をみると、 能登中部保健福祉センター管内(七尾市、 羽咋市とその周辺地域)がいずれの週でも最も多く、 これまでの累積患者数の80%(200人)が上記の管内に集中している。また、 これまでの累積患者数を定点当たりでみると、 能登中部保健福祉センター管内では50.0人と、 全県での8.6人、 他の保健所および保健福祉センター管内の0.3〜4.0人より著しく高い状況である。患者の年齢分布では、 小児科受診の成人麻疹も少数含まれるが、 のように1歳以下が多く、 0歳のうち6カ月未満は1人のみであった。

一方、 このような流行に伴い成人麻疹の患者報告も第15週(4/ 9〜4/15)よりみられており、 その数は第20週までに16人となっている。発生地域は能登中部保健福祉センター管内(9人)と石川中央保健福祉センター管内(7人)である。患者の年齢は18〜19歳2人、 20〜24歳6人、 25〜29歳5人、 30〜34歳2人、 35〜39歳1人であった。

また、 当センターでは5月末日までに9人の成人麻疹患者(すべてワクチン接種歴不明)について、 ウイルス分離検査の依頼を受けている。検体は、 すべて能登中部保健福祉センター管内の定点で3〜5病日に採取された咽頭ぬぐい液および血液である。現在までに6人の検査を終えたが、 うち4人からB95a細胞により麻疹ウイルスが分離された(咽頭ぬぐい液から2人、 咽頭ぬぐい液と血液の両方から2人)。なお分離ウイルスの同定は、 中和試験または蛍光抗体法によった。

ウイルスが分離された4人は、 いずれも20代の女性で、 発熱、 紅斑を認めたほか、 上気道炎やリンパ節腫脹、 口内炎を伴った例もみられた。また学校職員など、 地域流行の中で患者に接触する機会が多い人も含まれており、 未感染者にとっては医療従事者などとともに感染リスクの高い職業として十分な注意が必要と思われる。

なお、 石川県における麻疹ワクチンの接種率は約83%程度(平成11年度)であるが、 今回の状況から、 県内における流行の地域的偏りの背景や、 成人麻疹や年長児への感染とワクチン効果との関係などを明らかにするため、 発生動向調査における報告患者のワクチン接種歴把握の必要性を感じた。

石川県保健環境センター
尾西 一 大矢英紀 米澤由美子 宮川茂樹 芹川俊彦 西野久仁夫
石川県能登中部保健福祉センター 杉田直道
公立能登総合病院 石田 済

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