今シーズンにおけるコクサッキーウイルスA2型の初分離例−埼玉県
(Vol. 22 p 169-170)

今シーズン初めて、 埼玉県内の1医療機関においてヘルパンギーナと診断された2症例からコクサッキーウイルスA2型(CA2)を分離したので概要を報告する。

最初の症例は、 4月3日に発病した1歳10カ月の男児で、 発熱は39.6℃、 典型的な咽頭所見であったが、 咳などの上気道炎症状を伴っていた。2番目の症例は4月12日に発病した1歳5カ月の女児で、 発熱は38.0℃であった。

感染症発生動向調査により、 両症例とも咽頭ぬぐい液と便が当研究所に搬入された。ウイルス分離は、 数種類の培養細胞と哺乳マウス(ddy)を用いて実施した。咽頭ぬぐい液を生後24時間以内の哺乳マウスの背面皮下に接種したところ、 両検体とも接種後5日目に明瞭な弛緩性麻痺症状を示した。回収したマウスから作製した乳剤を抗原として、 国立感染症研究所分与の免疫マウス腹水を使った補体結合反応により同定を実施したところ、 分離されたウイルスは2株ともCA2と同定された。培養細胞では、 咽頭ぬぐい液、 便ともに分離陰性であった。

なお、 2症例が発生した時期の埼玉県におけるヘルパンギーナの患者報告は、 0.02/定点(14週)、 0.06/定点(15週)であり、 特に流行はみられなかった。

埼玉県衛生研究所 瀬川由加里 篠原美千代 内田和江 島田慎一 広瀬義文

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