非流行期のB型インフルエンザウイルスの検出−沖縄県
(Vol. 22 p 168-169)

2001年6月5日に県内南部のA中学校で発熱による欠席者が多いとの連絡が保健所からあった。また、 ほぼ同時期に県内中部のB中学校でも同様の症状で欠席者が増加しているとの報告があった。

A中学校では、 欠席者数のピークは6月4日〜5日で、 この時点では全校生徒329人中欠席者は50人(全体の15%)で、 以降減少してきている。

B中学校では、 欠席者数のピークは6月5日で、 この時点では全校生徒831人中欠席者は111人(全体の13%)であり、 以降減少してきている。

主な症状は、 発熱(37〜39℃)、 頭痛、 咽頭痛で、 これらの症状はAおよびB中学校の有症者で同様であった。

症状や季節を考慮して、 ウイルス性感染症についてはアデノウイルス、 インフルエンザウイルス、 エンテロウイルス、 細菌感染症についてはA群溶血性レンサ球菌、 ヘモフィルスインフルエンザ菌、 髄膜炎菌、 肺炎球菌、 レジオネラ属菌、 マイコプラズマを疑い検査を実施した。

AおよびB中学校の有症者の咽頭うがい液を検体とし、 A中学校17検体、 B中学校10検体について実施したところ、 MDCK細胞から12株(A中学校8株、 B中学校4株)のウイルスが分離された(6月21日現在)。分離された12株のうち6株は、 上気道炎の症状が見られない人からの分離であった。

MDCK細胞を用いて分離されたウイルス12株について国立感染症研究所より分与された感染フェレット抗血清を用いてHI試験を行った結果、 12株すべてにおいてB/Shangdong(山東)/07/97に対するHI価は20〜40(ホモ価640)、 B/Yamanashi(山梨)/166/98に対するHI価は<10(ホモ価2,560)を示したことから、 Victoria系統のB型インフルエンザウイルスと同定した。

本県において2000/01シーズンに分離されたB型インフルエンザウイルスは、 これまですべて山形系統のB/Yamanashi/166/98であったが、 今回の分離株はこれとは異なる系統の株であった。

今回の事例は、 非流行期の梅雨時期に起きており、 典型的なインフルエンザ症状を伴わない有症者もみられることから、 患者情報として報告されない可能性があり注意が必要と思われる。今後の動向が注目される。

沖縄県感染症情報センター
(沖縄県衛生環境研究所
 企画情報室:下地実夫 本成 充
 微生物室:平良勝也 中村正治 糸数清正 久高 潤 安里龍二)

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp

ホームへ戻る