ノーウォーク様ウイルス(NLV)−公衆衛生上の重要点と集団発生の管理(CDCガイドライン)
(Vol. 22 p 199-200)

ノーウォーク様ウイルス(Norwalk-like viruses:NLVs)は胃腸炎集団発生を引き起こし、 感染は汚染された食品や水を介して容易に拡大する。本レポートはNLV検出に関する最近の進歩を総括し、 米国におけるNLV関連集団発生を調査する際のガイドラインと疾病予防および管理方法に関する情報を提供している。詳細は以下のURL(http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr5009a1.htm)を参照されたい。本稿においては、 NLV集団発生の予防および管理についてのみ触れる。

NLV集団発生予防および管理:人−人感染の拡大がNLV胃腸炎集団発生の規模を大きくするが、 始まりは食品や水などの場合が多い。NLVの食品および水への汚染と、 引き続く人−人伝播の両方を防止する努力が、 NLV胃腸炎集団発生と拡大防止に重要である。

1)食品への汚染対策:ある種の食品、 特に貝類(例:カキなど)はNLVを貝内に濃縮する傾向がある。その場合、 収獲時に細菌学的衛生基準を満たしていてもNLVにより汚染されていることがあり、 加えて料理(例:蒸し料理など)では完全にはNLVを不活化することが不可能なこともある。現状では、 人の排泄物による収獲水域の汚染を予防することが(例:潜在的な糞便汚染源を点検し、 船上より糞便を廃棄することを禁止する)、 貝類へのNLV汚染を防止する方法の一つである。

食品取り扱い者を介する食品へのNLV汚染も重要な要因であり、 食品取り扱い衛生基準の厳守が望まれる。

2)水への汚染対策:NLVの水系感染は食品感染に比較すると少ないが、 汚染された水道や井戸水、 河川湖沼水、 氷製品、 水泳プールなどが関連したNLV胃腸炎集団発生が報告されている。飲料水のNLV汚染が集団発生の原因として示唆される場合には、 高濃度の塩素化(例:10ppmまたは10mg/l を30分間以上)が必要であると考えられる。

3)人−人伝播対策:NLVの人−人感染は、 糞口感染と空気感染を含む。このような伝播経路は特に老人保健施設や保育所、 旅客船など、 いわゆる施設内、 屋内という状況でNLV集団発生の重要な要因となる。人−人伝播対策は困難であるが、 以下のいくつかの方法は有効であると考えられる。石鹸を用いた10秒以上の手洗いと、 十分な流水による頻回の洗浄。病院や施設、 家庭で下痢便や吐物を片付ける者のマスク着用。汚れたリネン類と服は、 付着物の飛散を防ぐためできる限り揺らさないように取り扱い、 洗濯機での洗剤を用いた可能な限り長時間の洗浄。その後の洗濯機での乾燥。汚れた床などの適切な消毒剤(家庭用漂白剤10%溶液など)を用いた洗浄。キャンプ場や旅客船などの集団が入れ替わる施設は、 洗浄などの適切な処置を受けるまでは閉鎖。

(CDC、 MMWR、 50、 RR09、 1-18、 2001)

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